勤怠管理システムって実は給与計算はできませんよ

勤怠管理システムは実は給与計算までしない

勤怠管理システムはそもそも給与計算はできない

勤怠管理システムを導入する時に、システム化して実現させたいことの1番目は、何と言っても給与計算だと思います。

誤解をされている人も多いのですが、勤怠管理システムは、給与計算まで行わない製品のほうが圧倒的に多いです。

一般的な勤怠管理システムでは、給与計算の手前の時間集計までを行い、給与計算は専用の給与計算ソフトに任せてしまいます。勤怠管理システムで出力したCSVデータを給与計算システムに取り込み、給与計算ソフト内で計算させるのです。

一つにまとめた製品がないこともないのですが、使い勝手はいま一つで、大手のベンダーから提供される勤怠管理システム、給与計算システムは別々の製品であることが多いです。

なぜ、一つにまとめた製品がないのか?

これは、そのほうが効率良く、ユーザーに商品として提供できるからにほかなりません。もちろん提供価格も下げられます。

勤怠管理システムは、会社の独自ルールや運用によるオリジナルのロジックが求められることが多く、カスタマイズが頻繁に発生します。一方、給与計算ソフトは、税金や社会保険など、ほぼ法律などのきまりにのっとって計算するだけなので、基本的にはどの会社も一緒です。

カスタマイズを行う上では、ソフトウェアのサイズがコンパクトな方がコストがかかりません。例え部分的なカスタマイズといっても、不具合の影響が全体に及ぶ可能性がある以上は全体に関わる総合試験などが必要であり、巨大システムほどそのコストは膨らみます。

一方の給与計算システムは、カスタマイズこそ少ないものの、法改正による、プログラム修正を必要とする機会は結構多いです。法改正によるプログラム改修は影響が全体に及ぶケースも多く、システム開発上、けっこう大きなイベントです。

給与計算システムは、財務会計ソフトのベンダーがパッケージソフトを提供していることが多く、けっこう安価にてパッケージソフトが販売されています。

給与計算ソフトを財務会計ソフト購入のきっかけにするという典型的なアップセルマーケティングの戦略の一環です。

このような背景から安価なパッケージソフトが給与計算ソフトとして流通しており、勤怠管理システムベンダーは大きな投資をしてまで給与計算機能を実装してもメリットが薄いと考え、勤怠管理機能に特化した製品を提供しているのです。

管理会計としての人件費計算

一般的には勤怠管理システムは給与計算はしませんが、勤怠管理システムでも多くは時給や月給のマスタを持っていたりします。

これらは給与計算が目的ではなく、概算人件費を算出することが目的であることが多いです。

給与計算は、毎月の締め日に、一ヶ月分の労働時間を集計して、時給単価をかけて計算します。

ところが、これでは今週の経営状況を分析したいというニーズには対応できないのです。

経営者のとしては、極力リアルタイムで会社やお店の損益状況を把握したい。だから今の人件費はいくらなのかを知りたい。

そのためには、現時点での労働時間×時給で良いから人件費を計算したいということです。

ちなみに、ここで計算する1ヶ月分の人件費は、給与計算ソフト上で計算した控除前の金額とは一致しません。

同じように時給×時間で計算してはいますが、勤怠管理システム上では、一日ずつ計算して積み上げているのに対し、給与計算ソフト側では、一ヶ月の集計時間に時給をかけているからです。これにより勤怠管理システム上で1円未満の端数処理により生じた差異が出るのです。

管理会計上の数字なので完璧を求める必要はありません。完全一致させようと思うと、無駄にシステムが複雑になります。